「まさむねさんっ!」
「……ぅ」
「起ーきーてーくーだーさーいー!!」
「………shut up…」
「いくら低血圧だからってちゃんとおきなきゃ駄目です。ほら起きて!」
「…っち」
軽く舌打ちをして身体をおこす。
まだ覚醒しきっていない頭を振って、目を開けると、が開け放した襖から太陽の光がふりそぞいてきて思わず顔をしかめた。
「…まぶしい」
「朝ですから、当たり前です。ほら、ちゃんと起きないと小十郎さんが怒りますよ」
「そりゃ勘弁だな」
ぼやくと、がくすくすと笑う。
「っつーか、なんで今日はが起こしに来たんだ? 喜多はどうした」
「あぁ、それは今喜多さんはパーティーの準備を…」
そこまで言ったところで、はしまったという風に口をふさいだ。
が、もう遅い。俺はの言葉の中に気になる単語を発見していた。
「party? It is what kind of thing」
「べ、べつにどうってことじゃ無いんですよー。あははははは」
「……」
「あ、あはは。あはははは」
つくづく、は嘘が苦手だ。現に今だって俺が軽く睨んでやるとわざとらしく笑いながら目を逸らし始めた。
「」
「ぅぁはい!!」
「なんか企んでんのか?」
「め、滅相も無い!」
「じゃあpartyってのは何だ?」
「え、えーと、えーと、それは、その…」
の目線が泳ぎまくる。
それでもじっと睨み続けると、とうとう耐え切れなくなったのか「それではっ」と言ってそのまま俺の部屋から飛び出していった。
慌てて俺は後を追う。
「shit! 逃げんな、!」
「む、無理、怖い! 怖いよ政宗さん!! 小十郎さん助けてー!!」
「待ちやがれ!」
「うわぁぁん! 怖い! ごめんなさい喜多さん、私には政宗さん相手に時間稼ぎも嘘をつくことも出来ませんでした!!」
叫びながらが逃げ込んだのは大広間。
につづいて俺も足を踏み入れ――
「「「筆頭! 誕生日おめでとうございます!!!」」」
足を踏み入れた瞬間、部下達の野太い声が飛んできた。
大広間には、よくこれだけ入れたなってぐらいの人数がひしめき合っていて。
その中には小十郎や綱元や成実。そして(俺が追いかけたせいで)半泣きのもいる。
一瞬呆気に取られるが、部下達が言ったセリフを思い出して、そういえば今日は俺の誕生日だったと思いつく。
つまり、こいつらは、俺のために集まってくれた、ってわけか。
そう思うと(俺のキャラじゃねぇが)ちょっと感動しかけて、それをごまかすように俺は言う。
「おめぇら…!!」
「筆頭! パーティーの時間ですぜ!」
「Hey guys! Let's party! Ya-ha-!!」
「「「Yeah!!!」」」
部下達が歓声を上げて、すぐに飲めやうたえやの大騒ぎになる。
そんななか、が近づいてきた。いまだに目は涙目だ。
「悪ぃな、怖がらせちまったか?」
「ま、政宗さん。目がマジだったんですもん! ほんと、怖かったんですよ」
「sorry.I think that I was bad」
ついつい追いかけることに夢中になってしまっていたらしい。
こんどを追いかけるときは気をつけようと心にきめる。
「あ、言い忘れてた。政宗さん」
「Ah? 何だ?」
「Happy birthday!」
「Thank you」
それは全てが始まった日
「生まれてきてくれて、ありがとう」