「アレンの髪は綺麗だね」
アレンの部屋で、ベッドに寝転がりながらアレンの髪を弄んでいたがその手をふと止めて、ポツリとそう呟いた。
「そうですか?」
「うん、サラサラだし。いいなぁ羨ましいなぁ」
「でも、の髪も綺麗ですよ。真っ黒で、サラサラで」
「んー、黒い髪だったらリナリーの方が綺麗だよ…本当にいいなぁアレン」
ふぅ、とため息をついてはまたアレンの髪を弄りはじめる。
「僕はあんまりこの髪、すきじゃないんですけどね」
「え?何で」
は不思議そうに首をかしげる。
本当に何故だか分からないといった顔だ
そんなの様子に、アレンは苦笑する。
「この髪、目立っちゃうんですよね」
アレンの言葉にはようやく得心がいったという風に頷いた。
「あぁ、そっか。そういえば団服のフードも髪を隠すためだったね」
「そうなんですよ。けっこうこれコンプレックスで」
「そっか…」
そう言って、はふと押し黙る。
「どうしたんですか、?」
アレンが心配そうにを見た。
「あのさ、上手くいえないけどさ」
「はい」
「私は、アレンの髪の色、好きだよ」
「え?」
突然のの言葉に、アレンは目を丸くした。
自分でさえ嫌いな髪なのに、はそれを好きだという。
その理由が、分からなかった
「だって綺麗な色だよ?光があたると銀色になるし。それにさ、珍しい色だから」
「だから?」
「遠くにいたって、すぐ分かるから。安心できる、でしょ?」
「…」
「まっ、そーゆー事。気にしなくていいよ、私はアレンの髪、好きだから」
にこりと笑ってはアレンの髪から手を離す。
「よーっし、完成! アレン三つ編み似合うね」
が今まで弄っていた髪は、いまや立派な三つ編みになっていた。
先を小さなピンクのリボンで結んでいる。
「ふふ、可愛いなーアレン」
「男があんまり可愛いって言われても嬉しくないですよ…」
「そうなの?」
「そうですよ。それに…」
「それに?」
「僕なんかより、の方がよっぽど可愛いですから」
アレンのその言葉に、の顔が一気に紅く染まった。
「ア、アレンっ!?」
「僕、の髪好きですよ。黒くて、長くて、なんだか安心する」
「…あり…がと」
紅くなった顔を両手で隠しながら、はアレンに礼を言う。
アレンはそんなの髪を一房手にとって、そっと口付けをした。
君がいた。それだけで世界は美しかった。