「ブチャラティー、ココ分かんないんだけど」
「…何してるんだ、
「え、オベンキョーだけど?」

呆れ顔のブチャラティの問いに、は軽く答えた
そういう彼女の手には、ノートとボールペンが握られている。

「そういう事を聞いているんじゃないんだが…」
「ナランチャが勉強してるの見てたらなんか懐かしくなっちゃって」
「それで勉強か。は確か…中学は行ってたな」
「うん。っつっても私中学行ってすぐ辞めちゃったからねぇ、全然わかんないのよ。…いや、ナランチャほどじゃないけど」

えへ、と笑って、はノートをブチャラティに向けた。
ノートにはボールペンで何度も計算をした後が残っている。

「ブチャラティって頭良いほうだよね?」
「オレはこういうのは得意じゃないんだがな…フーゴに聞いたらどうだ?」
「フーゴは今ナランチャと地獄のレッスン中だから。私もまだ命は惜しいの」

さらりと言ったの言葉に、ブチャラティはかすかに頭痛を覚えた。
チーム内での無意味な流血沙汰はなるべくなら避けて欲しいところである。
しかも、見慣れた光景とはいえ誰もそれを止めようとしないのだからなおさらだ。

「んで、分かる?」

の声にふと我に返ったブチャラティは、ボールペンを受け取って目の前のノートに書き込み始めた。

「これは、この数式を代入して…」
「それで、そのまま計算?」
「ああ。その後出た答えをまた代入して計算すれば良い」
「あー…なるほどねー。ありがと、ブチャラティ」

はにこりと笑って、ブチャラティからボールペンを受け取る。

「やっぱブチャラティって頼りになるわー。ブチャラティがリーダーでホント良かった」
「大げさだな」

しみじみと言うにブチャラティは苦笑をもらした。

「おおげさじゃないって、だってホントにそう思ってるわけだし。事実ブチャラティは出来たリーダーだよ。
これで幹部に昇進したらもう怖いもの無しなのにね、誰か一人幹部級の奴がくたばらないかしら」
「不用意だぞ、
「はいはい。ごめんなさいー」

ブチャラティの注意には肩をすくめて答えた。
そんな緊張感の欠片も無いの言動にブチャラティはまた軽い頭痛を覚える。
組織への不用意な発言は自分の寿命を縮めるというのに、にはそんな危機感は全く無いらしい。

「それでさ、ブチャラティ」
「どうした?」
「もしブチャラティが幹部に昇進したら、私を幹部の恋人にしてくれる?」

軽く冗談のように、けれど真剣な目で、はそう言った。
そんなときのはもう誰が何と言おうとどうにもならないということをブチャラティは知っている。

「随分と気の長い話だな」
「ブチャラティならきっとやるって信じてるからいってるのよ」

それで、どっち?というの言葉にブチャラティは少し考えて、もちろんだ。と答えた。




And you shall be a true lover of mine