10月31日に関する考察〜殺人鬼の一族の場合〜
同属殺戮
It never rains but it pours!!
10月31日に関する考察〜殺人鬼の一族の場合〜
零崎一賊シリーズ設定
「うふふ、舞織ちゃんにちゃん。10月31日は何の日だか知っているかい?」
「何の日…って、ハロウィンですよね。勿論」
「ハロウィン知らない人って居ないんじゃないの?」
ねぇ?と、舞織に問いかけると、そうですよねーと返事が返ってくる。
「で、どうしたのいきなり」
「ハロウィン、といえば何かな?」
「ハロウィンといえば…?」
「んー、言いたいことがわかんないですよう双識さん」
「ハロウィンといえば何かすることがあるだろう?」
にこにこと笑ったままの双識のヒントに舞織があっ!、声をあげた。
「カボチャくりぬいて魔女とかの仮装してお菓子をくれなきゃ悪戯するぞーって言うんですよね」
「うんうん、多少偏った知識だけどそのとおりだよ。
で、舞織ちゃんにちゃん。ハロウィンをしないかい?」
まるで妹にならないかい?というような気楽さで双識は言う。
舞織とは多少困惑気味で「…ハロウィンを…する?」と呟いた。
「そう、因みにもう準備はしてあるんだよ」
そう言って双識は紙袋を手にとってに渡す。
ガサガサとがその中身を確認して…そして絶句した。
「…双兄…これ」
「どうしたんですか?」
舞織も隣からひょいと紙袋を覗きこみ、呆れたような顔になる。
紙袋の中にはネコミミをはじめとするネコ娘セットと漆黒のローブをはじめとする魔女っ子セットが入っていた。
「双兄…これは無いでしょ」
「こんなものどこで手に入れたんですか…」
「うふふ、凄いだろう」
妹二人の呆れた視線を軽く受け流しながら双識は誇らしげに胸をはる。
「是非ハロウィンの日は二人にコレを着て『悪戯するぞ』と言って欲しいものだね。
二人は元々可愛いけれどこういうベタな感じのコスプレをしたらもっと可愛さが増…ブベェッ」
「双兄キモイ」
「変態ですね」
朗々と語りはじめた双識だったが妹二人の辛辣な言葉と強烈な蹴りにより一瞬にして意識を飛ばしていったのだった。
「…ねえ舞姉。この衣装どうする?」
「ネットオークションとかで売れませんかね?」
「じゃあ軋兄帰って来たら聞いてみよっか」
帰って来た軋識が妹二人が取り出した衣装を見て驚くやらうろたえるやら、
それを見た人識に馬鹿にされるやら妹に呆れられるやらするのは数10分後の事である。
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同属殺戮
当然ながらそれは酷い有様だった。
日本中…いや、地球上の混沌をひとまとめにして鍋で煮詰めても、こうも酷いものにはならないだろう。
部屋中の物と言う物は全て分解され、今後二度と、その機能としての役割を果たすことは無いだろうと思われた。
流石、零崎の中でも人の解体を得意とし「分解願望」という二つ名を持つだけのことはある。と人識は思った。
「人間を解体する」というその一点だけを見るとするならば人識だって敵わないのだから。
すでに、破壊という一線を越え、もはや蹂躙としか言いようの無い部屋の中心で、は膝を抱えて座り込んでいた。
眠っているのかと思ったが、人識が近づくと伏せていた顔を上げてこちらを睨んできた。
目には一時期失われていた、それだけで人を殺すことが出来るかのような鋭さが戻っている。
「糞兄貴は、死んだぜ?」
「知ってる」
「先に言っとくけど、悪いのは俺じゃない。早蕨の奴らだ」
「…元を正すなら、お前があんな奴ら皆殺しにしてなかったのが悪い」
「でも殺られたのは糞兄貴の力不足のせいだろ?」
「知ってる」
「……なら俺を睨むなよ」
「……知るか」
早く失せろ、と目で脅された。
この場にこれ以上留まるのは人識としても嫌だったので早々に立ち去ることにする。
本当はこの後、舞織を紹介するつもりでいたのだけれど、
今この状況でそんなことをしたら多分取り返しのつかない事になってしまうだろう。
一歩間違えると人識にも被害の及ぶ可能性がある。
「んじゃな」
「…」
返事は無かったけれど、とりあえず挨拶をした。
ドアを閉める時に、部屋の中からポツリと「双識じゃなくてお前が消えればよかったのに」と呟くのが聞こえたけれど、
何も言わずにそのまま立ち去った。
同属殺戮
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It never rains but it pours!!
「ねー、おねーさん、まだ怒ってんの?」
何度話しかけられても、全く反応を返さないでいたら、出夢が気遣っている様子(を装って)話しかけてきた。
あまりにもそれがしつこくて、とうとう耐え切れずに出夢のほうを向くと、出夢の顔がパァっと明るくなって、
勿論演技だと分かっているけれどついつい怒りを忘れそうになる。
そんな自分に気付いて、気を引き締めなおした。
出夢が相手では気を抜けば喰われてしまう。(まぁ、その、いろんな意味で)
「出夢」
「なに?」
「私が、なんで怒ってるか、わかってる?」
私の言葉に出夢は一瞬きょとんとした顔をして、
「えーと、僕が、おねーさんにちゅーしちゃったからでしょ?」と聞いてきた。
「うん。その通りなんだけど」
あまりのさらっとした言い方に一気に気が抜ける。
この女男(ん?男女?)はことの重大さが全く分かってないわけだ。
「あのね、私はね、出夢が私になんの断りもなキスをしてきたことを怒ってるわけで」
「あ、なら断りいれればいいワケ?んじゃ、ちゅーすんね、おねーさん」
その言葉とともに私はいとも簡単に唇を奪われてしまったわけで。
「だ、誰がしていいって言った!!」
「えー、だって断ればいいって言ったじゃん」
「言ってない!この野郎ほんと常識なくてむかつく」
「別に減るもんじゃないんだし、そんなカリカリしないでよー。
僕にとって愛情表現なんだけどなぁー」
「あんたに愛情表現されても嬉しくないんだよばか!!」
It never rains but it pours!!
(つまりいつでも気を抜くなということ)
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